介護と仕事が両立できないとき|辞める前にできる5つのこと【介護歴25年】

親の介護と仕事を両立する家族をイメージした写真。職場と家庭の間で悩みながらも前向きに頑張る社会人を描いた、やさしい雰囲気のイメージ画像。 自宅介護と家族の悩み

介護と仕事が両立できない。そう検索する時点で、あなたはもう十分すぎるほど頑張っています。

この記事では、辞める判断をする前に知っておいてほしい制度と、相談員として「これで続けられた」と聞いてきた5つの工夫をお伝えします。読み終わるころには、次の一手が決まっているはずです。

高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。

親の介護と仕事、両立は「理想」じゃなく「現実的な課題」

親の介護が始まると、多くの人が最初にぶつかるのが 「仕事との両立」。

「介護があるから、残業ができない」

「通院の付き添いで有給が減る」

「上司に言いづらい」――そんな悩みを抱えている方も少なくありません。

実際、厚生労働省の調査では、親の介護を理由に年間約10万人が離職していると言われています。でも、辞める前にできる工夫や、使える制度があるのをご存じでしょうか?

この記事では、仕事と介護を無理なく続けるための考え方と実践ポイントを紹介します。

なぜ、親の介護と仕事の両立は難しいのか

介護は「いつ」「どのくらい」続くかが読めないのが最大の難しさです。例えば――

  • 通院や服薬管理などで、時間が不規則になる
  • 感情的な親への対応で心が疲れる
  • 介護に費やす時間が1日3〜4時間に及ぶこともある

特に、ひとりで抱え込むほど限界が早く訪れます。「自分だけが頑張る」から「チームで支える」へ。考え方を少し変えることが、両立の第一歩です。

介護と仕事が両立できないと感じる、3つのサイン

家族の相談を受けていると、介護と仕事が両立できないと言葉にする少し前から、だいたい共通のサインが出ています。

  • 仕事中に親のことを考えている時間が増える。会議中でも「今日はデイに行けただろうか」と気になる。集中力が落ちるのは、たいていここからです。
  • 有給が「休む日」ではなく「介護の日」になっている。この状態が半年続くと、心が回復する時間がゼロになります。
  • 職場に事情を話していない。これがいちばん危ないサインです。誰も知らないので、誰も助けられません。

3つのうち2つ当てはまるなら、辞めるかどうかを考える前に、次に紹介する制度を確認してください。順番が逆になると、選択肢が減った状態で決断することになります。

仕事を辞めないために知っておきたい制度

介護で仕事を辞める前に、まずは制度を使って調整してみましょう。

介護休業

最長93日(分割取得も可)まで仕事を休むことができ、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。

介護休暇

1年に5日(家族が2人以上なら10日)まで、1日単位・半日単位で取得可能。短時間勤務や時差出勤制度を組み合わせる企業も増えています。

フレックスタイム・テレワーク制度

職場によっては、柔軟な勤務ができるケースも。人事や上司に「親の介護が始まった」と早めに相談することで、環境を整えやすくなります。

親の介護と仕事を両立するための5つの工夫

在宅サービスを積極的に使う

訪問介護・デイサービス・ショートステイなどを早めに導入。「まだ大丈夫」と思っていても、早いほど家族の負担は軽くなります。

ケアマネジャーに相談する

介護保険の申請やサービス調整はケアマネの得意分野。プロに任せて、家族の時間を確保しましょう。

家族で役割分担を決める

きょうだいで「金銭管理」「通院」「見守り」などを分担するだけで負担が減ります。

配食・送迎サービスを使う

買い物や送迎など、民間サービスを使うことで生活の隙間時間を生み出せます。

完璧を目指さない

「食事を全部手作り」「毎日見に行く」など、理想を追うと疲弊します。「今日はこれで十分」と思える日を増やすことが継続のコツです。

辞めるか続けるか、相談員が見てきた分かれ目

介護離職をした方にも、しなかった方にも会ってきました。その差は、本人の頑張りの量ではありませんでした。制度を使う前に辞めたか、使ってから決めたか。分かれ目はここです。

介護休業の93日は、休んで自分が介護するための期間ではありません。介護の体制をつくるための期間です。ケアマネジャーを決め、サービスを入れ、家族で役割を分ける。この93日をそこに使った方は、その後も働き続けられているケースが多いと感じます。

逆に「もう無理だから」と先に退職した方は、収入が減ったうえに介護を一人で背負うことになります。半年後にかえって追い詰められている、というご相談も少なくありません。

辞めるという選択肢を消す必要はありません。ただ、順番だけは変えないでください。制度を使ってみて、それでも無理だったなら、その決断は納得のいくものになります。

限界を感じたら「施設利用」も選択肢に

両立がどうしても難しいときは、施設の一時利用(ショートステイ)や、特養・老健などの入所施設も検討しましょう。介護は「家で見ること」だけが正解ではありません。本人の安全と、あなたの生活を守るための手段として選ぶのも立派な決断です。

いきなり入所を決める必要はありません。まずはショートステイを一度使ってみるのが、いちばん現実的な第一歩です。施設の種類の違いや申し込みの順番は、次のガイドに一本でまとめています。

介護休業中はお金がもらえる?|介護休業給付金

「介護休業を取っても給料が出ないのでは…」と不安になりますが、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。

  • 支給額:休業前の賃金のおよそ67%
  • 対象:雇用保険に加入し、一定の条件を満たす人
  • 申請:原則として会社を通じてハローワークへ

介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取得できます。まとまった休みが取りづらい場合は、年5日(対象家族が2人以上なら10日)の介護休暇と組み合わせるのも有効です。

会社にどう伝える?|両立を相談するコツ

一人で抱え込まず、早めに会社へ相談することが両立の第一歩です。次の順番で整理してから話すと、スムーズに進みます。

  • いつ・どれくらいの期間、どんな働き方をしたいかを整理する
  • 使いたい制度(介護休業・介護休暇・時短など)を具体的に伝える
  • 人事や上司だけでなく、地域包括支援センターやケアマネにも相談する

「迷惑をかけるかも」と遠慮しがちですが、制度は使うためにあります。早く動くほど、離職せずに続けられる選択肢が広がります。

それに、遠慮する理由はもうありません。2025年4月に施行された改正育児・介護休業法で、介護に直面したと申し出た社員に対して、会社が制度を個別に周知し、利用の意向を確認することが義務になりました。40歳などの節目での早期の情報提供や、介護離職を防ぐための雇用環境の整備も、事業主の義務です。

つまり「言いにくいから黙っておく」のは、会社が果たすべき義務を眠らせたままにしているのと同じ。申し出るところからしか、制度は動き出しません。

介護と仕事の両立でよくある質問

介護離職は避けたほうがいい?

収入・キャリア・本人の社会的なつながりの面でリスクが大きいため、まずは制度を使って「辞めずに続ける」方法を検討するのがおすすめです。

介護休業と介護休暇は何が違う?

介護休業は通算93日のまとまった休み、介護休暇は年5日(2人以上で10日)の短い休みで、通院の付き添いなどに使えます。

遠距離介護でも両立できる?

在宅サービスや見守りサービス、ケアマネとの連携を活用すれば、離れて暮らしていても両立は十分可能です。

まとめ|自分の人生も、大切にしていい

介護は長期戦です。「仕事も親も、どちらも大事にしたい」と思うあなたの気持ちは、何よりも誠実です。無理に頑張らず、制度・サービス・人に頼る勇気を持つことが、結果的に“親にも自分にも優しい介護”につながります。

わすれもの
わすれもの

辞めるか続けるか、答えを今日出さなくて大丈夫です。まず制度の窓口に一本、電話してみてください。それだけで見える景色が変わることを、何度も見てきました。

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