介護施設の個室と多床室どっちがいい?7つの違いと選び方

介護施設の個室と多床室の違いを比較しているイメージ画像(家族が施設選びに悩んでいる様子) 施設・相談員との付き合い方

「介護施設を探しているけれど、個室と多床室のどっちがいいの?」
施設見学のご案内のたびに、ご家族から受ける質問です。介護施設で生活相談員をしているわすれものが、7つの軸で整理しました。費用、プライバシー、トラブルの有無、介護度との相性。
(多床室の読み方は「たしょうしつ」。ベッドが2〜4床ある大部屋のことです。)

先にお伝えしたいのは、こういうことです。

わすれもの
わすれもの

正解は人によって違う

この記事では、
費用・生活環境・トラブルの有無・介護度との相性など7つの軸で、
個室と多床室の違いをわかりやすく解説します。

あなたが大切な家族のために、後悔しない選択ができるよう、現場経験をもとに丁寧にまとめました。

多床室(たしょうしつ)とは|部屋タイプ4種類の違い

読み方は「たしょうしつ」です。ひとつの部屋にベッドが2〜4床置かれた、いわゆる大部屋を指します。パンフレットには「多床室」としか書かれていないことが多く、見学に来られたご家族から読み方を聞かれることもよくあります。

ややこしいのは、部屋の呼び方が4種類あることです。「従来型個室」は廊下沿いに個室が並ぶ昔ながらの造り。「ユニット型個室」は10人ほどで1つの生活単位をつくり、共用のリビングを囲んで個室が並びます。「ユニット型個室的多床室」は、もとの大部屋を天井まで届かない壁で仕切ったものです。書類の上では個室、実際には音が通る半個室と考えてください。そして「多床室」が、カーテンで仕切る大部屋にあたります。

費用はおおむね、ユニット型個室がいちばん高く、多床室がいちばん安くなります。特養の申込書で「個室と多床室のどちらを希望しますか」と聞かれるのも、この区分の話です。ここから先は、ご家族がいちばん迷う個室と多床室にしぼって、7つの違いを見ていきます。

4種類を並べると、こう整理できます。

部屋タイプ1部屋の人数特徴費用の目安
従来型個室1人昔ながらの個室。共用の食堂・浴室を使う
ユニット型個室1人10人前後を1ユニットとし、共有リビングがある
ユニット型個室的多床室1人(間仕切り)大部屋を可動間仕切りで区切った準個室中〜高
多床室2〜4人いわゆる大部屋。カーテンで仕切る

そもそも施設の種類から迷っているなら、特養と老健の違いを先に読んでおくと、部屋タイプの話も入りやすくなります。

なぜ多床室の個室化が進んでいるのか

新しく建つ特養は、ほとんどがユニット型個室です。理由は大きく2つあります。ひとつは感染対策。大部屋は一人が発熱すると同室者へ広がりやすく、隔離もしにくい。コロナ禍でこの弱点がはっきりしました。

もうひとつは、その人らしい暮らしを守るという考え方です。使い慣れた家具を置き、写真を飾り、夜は自分のペースで眠る。多床室では難しいことが、個室ならできます。とはいえ費用は上がります。だから「個室化が正解」ではなく、何を優先するかの話になります。

個室と多床室のメリット・デメリット早見表

7つの軸に入る前に、個室と多床室のメリット・デメリットをひと目で見比べられるようにまとめます。ここだけ読んでも、どちらが向いているかの見当はつくはずです。

メリットデメリット
個室プライバシーが保たれる/使い慣れた家具や写真を持ち込める/夜を自分のペースで過ごせる/感染時に隔離しやすい費用が高い(ユニット型個室が最も高額)/交流が生まれにくく孤立しやすい/職員の目が届きにくい時間帯がある
多床室費用が安い/同室者や職員の目があり異変に気づかれやすい/自然な会話が生まれやすいカーテン1枚で音やにおいが伝わる/持ち込める私物が限られる/同室者との相性の問題が起きうる/感染が広がりやすい

ここから、それぞれの軸を順番に見ていきます。

プライバシーの違い

●個室

  • 自分の空間がしっかり確保される
  • 着替え・排泄・就寝などのプライバシーが守られやすい
  • 周囲の物音が少なく、落ち着いて過ごせる

◼️多床室(2〜4人部屋)

  • カーテンで仕切るため完全なプライバシーは難しい
  • 夜間のいびきや生活音が気になりやすい
  • 他の人の会話が聞こえるため、気を使う人も

▶プライバシー重視なら個室が圧倒的にラク。


費用の違い

●個室

  • 施設にもよりますが、月額2〜5万円ほど高めになる傾向
  • 光熱費や生活費が個別計算される場合もある

◼️多床室

  • 個室より月2〜5万円ほど安い
  • 「できるだけ費用を抑えたい」家族から選ばれやすい

▶経済的負担が大きければ多床室でもOK。
 費用の差より生活が安定するかどうかが大事です。


生活のしやすさ(環境)の違い

●個室

  • 静かな環境で“自分のペース”を守れる
  • 持ち込み家具も増やせて、家に近い暮らしができる

◼️多床室

  • 誰かが話している声が常に聞こえる
  • 人が好きな方は「にぎやかで安心」と感じる
  • 認知症の場合は他人の気配が逆に落ち着くケースも

▶「静かに過ごしたい人=個室」「人の気配が安心=多床室」が基本。

孤独感・交流の違い

●個室

  • ひとりの時間が増え、孤独感につながる場合
  • スタッフが意識的に訪室し、交流を促す必要がある

◼️多床室

  • 他者との距離が近く、孤立しにくい
  • 雑談が生まれやすく「人の気配が心の支えになる」

▶人と話すのが好きな方は多床室が向く傾向。


トラブルの起きやすさ

●個室

  • 人間関係のトラブルが少ない
  • 物の紛失などが把握しやすい

◼️多床室

  • 認知症の方とのトラブルが起きやすい
    (例:他人のベッドに座る、私物を触るなど)
  • 排泄臭やいびきなどの問題も起きやすい

▶認知症が進んでいる場合は、個室の方が落ち着きやすいこともあります。


介護スタッフから見た違い

●個室

  • その人に合わせた介護がしやすい
  • プライバシーに配慮したケアができる

◼️多床室

  • 複数人の見守りができるため安全面が強い
  • 夜勤帯などは“巡視の効率”が良い

▶本人の状態によって「個室の方が安全」「多床室の方が目が届く」など変わります。


ご家族が後悔しない選び方

▶①本人の性格を考える

  • 静かに過ごしたい
  • ひとりが好き
    個室
  • 人と話すのが好き
  • 人の気配が安心
    多床室

▶②認知症の有無

  • 誤解・トラブルが多い
  • 不穏になりやすい
    個室が無難

▶③面会のしやすさ

  • 個室なら家族でゆっくり話しやすい
  • 多床室は周囲の目が気になる

まずは短期で試してみたい、という方もいます。初めてのショートステイで部屋の様子を見てから決めるのも、ひとつのやり方です。

▶④費用とのバランス

月2〜5万円の差が長期的に負担にならないか確認を。

個室と多床室に“正解”はありません

介護施設の「個室」「多床室」は、
それぞれにメリット・デメリットがあります。

  • 落ち着いた環境で暮らしたい → 個室
  • 人の気配が安心・費用を抑えたい → 多床室

大切なのは、
「本人が安心して暮らせる環境はどっちか?」
という視点です。

悩んだときは、施設の見学で
✓ 実際の部屋の広さ
✓ 他の入居者さんとの距離感
✓ 生活音
などを確認してみてください。

あなたの大切な家族が、
「ここなら安心して暮らせる」と思える場所が見つかりますように。

施設を考え始めてから入居後までの全体像は親を施設に入れる前に読むガイドにまとめています。いま読んでいる場面の、前と後ろも見通せます。

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