完璧な介護を目指さないで。家族だからこそ大切にしたい“ほどよい距離”

介護

介護施設で生活相談員をしていますわすれものです。

現在は生活相談員として事務所で働いていますが、生活相談員に従事する前は、介護現場で介護福祉士としてケアをしていた経験者です。結論から申しますと、

【介護は完璧を目指すものではありません】

それは、ご自宅で介護する場合も同じです。

「ちゃんと介護できていない気がする…」
そんなふうに、自分を責めていませんか?
家族だからこそ、「ちゃんとやらなきゃ」という思いが強くなりがちです。
でも――完璧な介護なんて、誰にもできません。

今日は、「家族介護に完璧さはいらない」というお話をお伝えします。
読んだあと、少しでも肩の力が抜けたら嬉しいです。

なぜ、完璧を目指してしまうのか

多くのご家族は、

「大切な人に苦労させたくない」

「申し訳ない思いをさせたくない」

という強い気持ちを持っています。
でもその優しさが、知らず知らずのうちに「自分が全部やらなきゃ」というプレッシャーに変わってしまうこともあるのです。

また、その自分がやらなきゃという強い思いが、相手に無意識に高い期待やプレッシャーを与えてしまっていることも忘れてはいけません。

できなかったことより、「できたこと」に目を向けて

たとえば、

  • ご飯が作れなかった
  • お風呂を介助できなかった
  • 夜のトイレ介助ができなかった
  • 外出させられなかった
  • 希望に応える事ができなかった

そんな日は、「申し訳ない」と思うかもしれません。

でも視点を変えると――

  • 声をかけた
  • お水を用意した
  • そばにいて見守った
  • 手を握った

それも立派な“介護”です。
プロの介護職でさえ、100点満点のケアはできません。家族ならなおさら、できる範囲で十分なんです。

「これくらい、まぁいいか」

を意識してください。案外そのような軽い気持ちの方が上手くいくかもしれません。

実際の声:

「お母さんが笑ってくれるだけで、こっちもホッとする」
(認知症のお父さんを介護中の娘さん)

この娘さんは、当初「仕事と両立しながらの介護で、何もできていない」と悩んでいました。
でも、ご本人が感じていたのは

「一緒に過ごしてくれる安心感」

でした。

介護は、テクニック以上に「寄り添う気持ち」が大切です。

頼ることは、悪いことじゃない

地域のサポートや介護サービス(デイサービス・ショートステイ・訪問介護など)を使うことに、罪悪感を抱く方も少なくありません。
でも、息切れしてしまっては本末転倒です。

介護を“続ける”には、休むこと・頼ることが必要不可欠。
自分を責めないで、少し手をゆるめてくださいね。

それは決して「弱さ」ではありません。

おわりに

家族だからこそ、できることがある。でも、家族だからといって「全部やらなきゃいけない」わけではありません。

私達は機械を相手にしているわけではありません。人を相手にする介護は、予測できないことが多く、計画通りに進まない場面が多いため、完璧を求めると自分を責めて精神的に追い詰めやすくなります。

冒頭でもお伝えしましたが、10年以上介護現場でご利用者の介護をしていました。私なりに日勤・夜勤とスケジュールを立てて行動をしていました。

『〇〇時に〇〇さんが起きる時間だ』

『▲▲時に▲▲さんをトイレに連れて行かなきゃ』

でも、このスケジュールがなかなかうまくいきません。介護施設は、集団の場でたくさんのご利用者がいらっしゃるから当然です。様々な動きや訴えがある中で、その状況で優先順位をつけて対応していかなければなりません。結局自分の思い通りにならないことも多く、それがストレスになっていました。

完璧主義は介護疲れやストレス、うつ状態の原因となり、心身の健康を損なうリスクが高まります。

介護はマラソンのようなもの。
完璧さより、続けられる“ペース”が大事です。
今日できたこと、それだけで十分です。

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