高齢者施設で生活相談員しておりますわすれものです。
介護の仕事の中でも、「新しいご利用者を迎える日」は特別な時間です。
ご本人にとっては新しい生活の始まりであり、ご家族にとっては不安と期待が入り混じる日。
そして、私たち職員にとっても “信頼づくりの第一歩” となる大切な日です。
この記事では、介護現場で新規利用者を迎えるときに気をつけたい7つのポイントを紹介します。
少しの工夫で、ご利用者もご家族も、そして職員自身も安心できる初日になります。
情報共有を徹底する|「知らなかった」をなくす
新しいご利用者を迎えるとき、まず大切なのは情報の共有です。
ケアマネジャーからの情報、ご家族からの申し送り、医療面の注意などを、職員全員が同じように理解しておくことが必要です。
✅ チェックポイント
- 事前にミーティングを開き、必要な情報を整理
- 食事制限・服薬・歩行状態など、注意点を掲示して共有
- 「今日、新規利用者が来る」ことを全職員が把握
小さな情報の共有が、安心と信頼を生み出します。
第一印象を大切にする|笑顔とやさしい声で迎える
初めての場所、初めての人。
ご利用者もご家族も、きっと緊張しています。
だからこそ、笑顔とあいさつが何よりの安心材料になります。
💡 ワンポイント
「お待ちしていました」「これからよろしくお願いします」
たった一言でも、心をほぐす魔法のような言葉です。
名前を添えて話しかけることで、距離がぐっと近づきます。
“慣れない環境”への不安に寄り添う
新しい環境に慣れるまでには時間がかかります。
特に認知症のある方や、環境の変化に敏感な方は、少しずつ馴染んでいくことが大切です。
✅ 心がけたいこと
- トイレや食堂など、生活導線を丁寧に案内する
- 無理に集団に入れず、まずは1対1の関わりから
- 表情やしぐさの変化を観察して、不安サインを見逃さない
「その人のペースを大切にする」――これが信頼づくりの基本です。
ご家族の安心も支援の一部
新しい環境に送り出すご家族も、不安を抱えています。
「預けてよかった」と思ってもらえる対応ができると、その後の関係がとてもスムーズになります。
💬 寄り添いのコツ
- 初日の様子を簡単に報告(「お昼は完食されました」など)
- 「何か気になることがあればいつでもどうぞ」と伝える
- ご家族の表情にも気を配り、安心して帰れるよう声かけ
ご家族の安心は、利用者本人の安定にもつながります。
受け入れ準備を整える|“迎える側”の心づもりを形に
居室の準備や持ち物の確認など、迎え入れる準備も大切なポイントです。
「あなたを待っていました」という雰囲気をつくることで、初日の印象が大きく変わります。
✅ 事前確認リスト
- 居室名・持ち物・生活用品の準備
- ベッド位置や安全確認
- 必要な介護用具・オムツサイズなどの再確認
- 施設内導線の清掃・整備
準備が整っている空間は、それだけで“安心のサイン”になります。
初日の記録を丁寧に残す|小さな変化を見逃さない
初日は、ご利用者の“その人らしさ”が見えやすい時間です。
緊張や不安の中でも見せてくれる笑顔、表情、言葉――それを記録することが、次のケアにつながります。
✍ 記録のポイント
- 表情や言葉の変化
- 食事・排泄・睡眠の様子
- 声かけへの反応
- 不安のサイン(そわそわ、落ち着かない等)
小さな記録の積み重ねが、「その人を理解する」第一歩です。
チームで振り返る|“次につながる受け入れ”に
受け入れが終わったあと、振り返りの時間を設けることも大切です。
初日の対応をチームで共有することで、次の支援に活かせます。
✅ 振り返りの視点
- ご利用者の様子:不安・笑顔・反応
- 職員の対応:うまくいった点・改善点
- 家族の印象:安心していたか、気になる点はあったか
チームで共有することで、「次はもっと良くできる」が生まれます。
まとめ|“迎える心”が信頼を生む
新しいご利用者を迎える日は、忙しさの中にも大切な意味があります。
それは、“信頼関係をつくるスタートライン”であるということ。
情報共有を丁寧に、笑顔であいさつを、そして相手のペースを大切に。
この3つを意識するだけで、利用者も家族も、そして職員自身も安心できる関係が生まれます。
介護は、「はじめまして」から始まる物語。
その最初の一日を、心をこめて迎えましょう。


コメント