【5つの視点】ケアの本質は手順ではない|利用者の「やりたいこと」から始まる介護

介護スタッフが手順よりも利用者本人に向き合い、目線を合わせて安心感を大切にしているケアの場面 介護 ご利用者

高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。

介護の現場では「手順通りに行うこと」が求められます。事故防止、感染対策、効率化。どれも大切です。しかし、手順を守ることに気をとられ過ぎると、本来のケアの目的を見失いがちです。

ケアの本質は「その人がやりたいこと」を支えること。

たとえば食事介助ひとつをとっても、「食べさせること」が目的になれば、スピードやこぼさないことが優先になります。でも本当の目的は、「その人が自分の力を使って、安心して美味しく食べられる」ことのはずです。

この記事では、なぜケアが手順中心になってしまうのか、どうすれば「やりたいこと」へ立ち返れるのか、忙しい現場でもできる本質的な視点をお伝えします。

わすれもの
わすれもの

本来の介護は、その方の生活全般を支えることです。

ケアが「作業」になった瞬間、本質から離れていく

介護の仕事は、いつの間にか「やること」に追われます。
排泄、食事、入浴、服薬、記録…。
一つひとつは必要な業務であり、どれも欠かせません。

けれど、
「終わらせること」が目的になった瞬間、
ケアは“人の営み”ではなく“作業”に変わってしまいます。

手順を守ること自体が悪いわけではありません。
問題なのは、手順が目的になってしまうことです。

スタッフ
スタッフ

なんとか一時間でおむつ交換が終わった。

そもそも、ケアの目的とは何なのか

改めて考えてみると、介護のケアの目的はとてもシンプルです。

  • その人が安心して暮らすこと
  • できることを続けられること
  • 自分らしさを失わないこと

つまり、
「その人の生活を支えること」がケアの本質です。

食事介助は「食べさせること」ではなく
「自分の力で、安心して食事を楽しめること」。

排泄介助は「失敗させないこと」ではなく
「尊厳を守りながら排泄できること」。

ここを見失うと、
どれだけ丁寧でも“ズレたケア”になってしまいます。

なぜ現場では手順が優先されやすいのか

多くの職員が「本当は違う」と感じています。
それでも手順中心になる理由があります。

  • 人手不足で時間に追われる
  • 事故・クレームへの不安
  • 新人教育はマニュアル重視
  • 評価されやすいのは“ミスがないこと”

結果として、
「利用者の気持ち」より「正解のやり方」が優先されやすくなるのです。

これは個人の問題ではなく、
現場構造の問題でもあります。


「やりたいこと」は、実は日常の中にある

「利用者のやりたいこと支援」と聞くと、
特別なレクリエーションや外出を思い浮かべがちです。

でも実際は、もっと小さなところにあります。

  • 自分でボタンを留めたい
  • 今日はゆっくり起きたい
  • 好きな順番で食べたい
  • 自分の話を聞いてほしい

これらを拾えるかどうかが、
ケアの質を大きく左右します。


ケアの前に「人を見る」ための視点

ケアに入る前、ほんの数秒でいいので考えてみてください。

  • 今日の表情はどうか
  • 体調や気分に変化はないか
  • 急がせる必要は本当にあるか

ケアの前に人を見る。
この視点があるだけで、
声のかけ方も、手の添え方も変わります。


手順と本質は対立しない

よくある誤解ですが、
「手順を守る」と「本人の思いを尊重する」は対立しません。

むしろ、
本質を理解している人ほど手順を“活かせます”。

  • なぜこの手順が必要なのか
  • どこは柔軟にしてよいのか
  • どこは譲れないのか

目的が分かっていれば、
その場に合った判断ができるようになります。

忙しい現場でもできる、本質を守る工夫

すぐ実践できることは多くありません。

  • 触れる前に一声かける
  • 相手の目を見る
  • 「今日はどうですか?」と聞く
  • できたことを奪わない

これだけでも、
利用者の安心感は大きく変わります。


まとめ|ケアは「何をするか」より「どう向き合うか」

介護の現場では、どうしても
「何をするか」「どの手順で行うか」に意識が向きがちです。
それは安全や効率を守るために必要な視点でもあります。

しかし、ケアの本質は
行為そのものではなく、その人とどう向き合っているかにあります。

同じ食事介助でも、
急がされながら口に運ばれるのと、
「ご自分のペースで大丈夫ですよ」と声をかけられるのとでは、
利用者が感じる安心や尊厳はまったく違います。

手順は守れていても、気持ちが置き去りになっていれば、
そのケアは本人にとって“つらい時間”になってしまうこともあります。

だからこそ大切なのは、
ケアの前に立ち止まり、
「この人は今、どう感じているだろう」と想像すること。

ほんの数秒の視線、
一言の声かけ、
相手の表情を確かめる余裕。

それだけで、
ケアは「作業」から「関わり」に変わります。

忙しい日ほど完璧なケアはできません。
でも、向き合う姿勢だけは選べます。

今日できなかったことより、
今日その人をどう大切に扱えたか。

ケアは、
「何をしたか」ではなく「どう向き合ったか」が、
静かに、そして確実に相手に伝わる仕事です。

その積み重ねが、
利用者の安心となり、
介護する側の迷いや疲れを和らげる力にもなります。

この視点を忘れないこと。
それこそが、
どんな現場でも通じる「ケアの本質」ではないでしょうか。

わすれもの
わすれもの

「できないこと」より「やりたいこと」や「思い」に寄り添うのが介護です。

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