介護施設で生活相談員をしていますわすれものです。
夜になると、認知症のある方がそわそわしたり、不安そうに動き回ることがあります。
「なんだか落ち着かないみたい」
「眠れないのかな?」
「私のことがわからなくなっている?」
そんな姿を見ると、ご家族としても心配になりますよね。今回は、認知症の方が夜に不安になる理由と、安心して過ごしてもらうための声かけや環境づくりについてお話しします。
なぜ夜になると不安が強くなるの?
日中は穏やかでも、夜になると不安や混乱が出やすくなることがあります。その原因には、いくつかの理由が考えられます。
体内時計が乱れやすい
認知症が進むと、昼と夜の区別がつきにくくなります。昼にウトウトしていた分、夜に目が覚めてしまうことも。
暗さによる不安
周りが暗くなると、影や音がはっきり見えにくくなり、不安を感じやすくなります。
家族が寝る=ひとりになる不安
周囲が静かになる夜は、孤独や不安を感じやすい時間でもあります。
「夜になると不安になるのは、自然なことなんだ」と知っておくだけでも、対応の気持ちが変わります。
安心につながる「声かけ」のコツ
不安そうにしているとき、「何かしなくちゃ!」と思ってしまいますが、まずはそばにいて安心を届けることが大切です。
まずは受け止める
「どうしたの?」
と問いかけるよりも、
「大丈夫ですよ。私がそばにいます」
と、優しく寄り添う声かけを意識しましょう。
ゆっくり、短い言葉で
「何が不安なの?」
とたくさん聞くよりも、
「心配しないで」
「ここは安全ですよ」
と、シンプルで安心感のある言葉が効果的です。
否定しない
「そんなことないでしょ」
「寝なさい」
ではなく、
「そう感じるんですね」
「眠れないんですね」
と、気持ちを受け止めてあげましょう。
環境を少し変えるだけで落ち着くことも
声かけとあわせて、環境の工夫も不安を和らげるポイントです。
足元灯でほんのり明るく
真っ暗だと不安が強くなりがち。やさしい明かりをつけると安心感が増します。
「今が何時か」がわかる工夫を
デジタル時計やカレンダーを見える場所に置くと、時間の感覚を取り戻しやすくなります。
安心できる“お気に入り”をそばに
ぬいぐるみ、昔使っていた毛布、写真など、その人にとって安心できるモノをそばに置いてみましょう。
家族も無理をしないサポート体制を
夜の対応が続くと、家族の心と体も疲れてしまいます。
医師に相談してみましょう
「夜に眠れない」といった状況は、薬の調整や日中活動の見直しで改善することがあります。
介護サービスも頼ってOK
ショートステイや夜間対応型のデイサービスなど、家族が休める仕組みを使うことも大切です。
“完璧”を目指さない
夜に完全に眠ってもらうことだけが正解ではありません。「少しでも安心してもらえたらOK」くらいの気持ちで大丈夫です。
まとめ|安心のスイッチを一緒に探していこう
認知症の方が夜に不安を感じるのは、とても自然なこと。でも、安心できる声かけやちょっとした環境の工夫で、少しずつ落ち着いて過ごせるようになります。
家族が無理をせず、「できることを少しずつ」取り入れることが、何よりも大切です。
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