高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
はじめに
介護を学んでいる方や、これから介護の仕事を始めようと考えている方にとって、必ず耳にする言葉が「チームケア」と「個別ケア」です。
一見すると、「効率を重視するチームケア」と「その人らしさを大切にする個別ケア」は相反するようにも思えますよね。
しかし実際の現場では、どちらか一方だけではうまくいきません。
例えば、全体の流れを無視して一人に合わせすぎれば他の方にしわ寄せが来ますし、逆に効率ばかりを追い求めればご利用者が置き去りになってしまいます。
そこで本記事では、
- チームケアと個別ケアの違い
- それぞれの役割とメリット
- 両立させるための 5つの具体的ポイント
を現場の事例を交えながら解説していきます。
チームケアとは?
チームケアとは、介護職員・看護師・リハビリ職・ケアマネジャーなど、多職種が連携してご利用者を支えることです。
- 情報を共有して事故やミスを防ぐ
- それぞれの専門性を活かし、幅広い支援ができる
- 職員同士が助け合うことで、精神的な負担も軽減
例えば、夜間に体調の変化があった入居者さん。介護職員が気づき、看護師へ報告し、医師につなぐ。これがまさにチームケアの強みです。

個別ケアとは?
個別ケアは、「その人らしさ」を大切にするケアです。
同じ高齢者でも、好みや生活歴、価値観は人それぞれ。
- 食事の好みを尊重する
- 入浴のタイミングを選べるようにする
- 声かけの言葉や方法を一人ひとりに合わせる
つまり、「ご利用者は“施設の一人”ではなく、“かけがえのない一人”」として接するのが個別ケアです。

チームケアと個別ケア、どちらが大事?
ここでよくある疑問が「結局、どっちが優先なの?」という点です。
実は、この二つは対立するものではなく、 お互いを補い合う関係 です。
- チームケアだけだと…「効率優先」で画一的になりやすい
- 個別ケアだけだと…職員ごとに対応がバラバラになりやすい
だからこそ、 チームで個別ケアを実現することが理想 なのです。

チームケアと個別ケアを両立させる5つのポイント
1. 情報共有を徹底する
「Aさんはお茶よりコーヒーが好き」といった小さな情報もチームで共有することで、誰が対応しても“その人らしいケア”につながります。
2. 小さな気づきを大事にする
ご利用者の表情やしぐさから「今日は体調が良くなさそう」「この声かけの方が反応が良かった」といった小さな変化を拾い、チームに伝えることがケアの質を高めます。
3. マニュアルと柔軟性のバランス
基本的な流れやルールはマニュアルで統一しつつ、ご本人の希望に応じて臨機応変に対応できる余地を残すことが大切です。
4. 振り返り・ケース検討の場を持つ
「このケアはAさんに合っていたか?」をスタッフ間で振り返り、必要に応じて改善していく。定期的なミーティングやカンファレンスが効果的です。
5. スタッフ間の信頼関係を築く
「自分が伝えた情報を同僚も活かしてくれる」と信じられる関係があると、情報共有や連携がスムーズになります。信頼はチームケアの基盤です。
まとめ
- チームケア=多職種やスタッフ同士で支え合い、安心安全を守る
- 個別ケア=その人らしさを尊重する
- 両立のカギは「情報共有」「柔軟性」「信頼関係」
介護は効率だけでも、優しさだけでも成り立ちません。
チームの力を借りながら、一人ひとりの暮らしを支える。これこそが介護の本質なのです。
👉 介護を勉強している方には「現場をイメージするヒント」に、現場で働いている方には「日々の振り返りの材料」にしていただければ嬉しいです。
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