高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
夕方になると、認知症の方が不安になったり、イライラしたりすることがあります。これを「夕暮れ症候群」と呼びます。家族や介護職の方が、どう対応すれば安心して過ごせるのか知っておくことは、とても大切です。本記事では、夕暮れ症候群の特徴と原因、そしてすぐ実践できる対応方法を解説します。

日中は穏やかに過ごされていたのに、夕方になると不穏や不安が見られるご利用者は多いです。「家に帰ります!」と荷物をまとめられる方も・・
夕暮れ症候群とは?
夕暮れ症候群とは、主に認知症の方に見られる「夕方から夜にかけての混乱や不安」のことです。具体的には次のような行動が見られます。
- イライラして怒りやすくなる
- 落ち着きがなくなる
- 夜間徘徊をする
- 些細なことで泣いたり叫んだりする
これは、認知症の方の脳が夕方の光や刺激に敏感になり、生活リズムが崩れることによって起こると考えられています。BPSD(行動・心理症状)の一つとして位置付けられることもあります。
夕暮れ症候群が起こる原因
生活リズムの乱れ
昼夜の区別がつきにくくなることで、夕方になると眠気や疲れがたまり、不安や混乱が強くなります。
環境や刺激による不安
日が沈む時間帯は暗くなり、不安感が増します。また、騒音や人の出入りなども刺激になりやすくなります。
脳の認知機能の変化
認知症の進行により、状況を正確に判断する能力が低下します。その結果、日常の変化や些細な出来事でも強く反応してしまいます。
家族でもできる対応の基本
夕暮れ症候群は、ちょっとした工夫で症状を和らげることができます。
1. 声かけやトーンで安心させる
落ち着いた声で話しかけ、焦らず丁寧に対応しましょう。「今は安全だよ」「一緒にゆっくり過ごそうね」と伝えるだけでも、不安が和らぐことがあります。
2. 部屋の明るさや環境を整える
夕方でも照明を少し明るめにして、影や暗闇を減らします。お気に入りの音楽や穏やかな照明は安心感を与えます。
3. 日中の活動で疲れを調整
昼間に適度な運動や活動を取り入れると、夜は自然に落ち着きやすくなります。軽い散歩や簡単な家事も効果的です。

その方は、実際に困っているということです。そこを忘れないことがポイントです。
夜間徘徊やイライラへの対処法
安全確保の工夫
夜間徘徊の可能性がある場合は、家具の配置を安全にしたり、ドアに簡易ロックをつけたりして事故を防ぎましょう。
気持ちを落ち着かせる接し方
叱ったり無理に止めようとせず、そっと付き添うことが大切です。手を握ったり、穏やかに話しかけるだけでも安心感を与えられます。
介護職・施設での対応ポイント
施設では家族と同様の基本対応に加え、記録や情報共有が重要です。誰がどの時間帯にどのような行動をしたかを共有することで、チーム全体で対応がスムーズになり、介護者の負担も減ります。

「この時間帯に不安になりやすい」という状況を知っておくのも、心の余裕や対策につながると思います。
まとめ:夕暮れ症候群への理解と対応
夕暮れ症候群は、多くの認知症の方に見られる現象ですが、環境や声かけ、生活リズムの工夫で症状は落ち着きます。
家族も介護職も、まずは「安心できる環境」を整え、小さな工夫を積み重ねることが大切です。日々の対応で、夕方から夜にかけての時間を少しでも穏やかに過ごせるようになります。
💡 ポイントまとめ
- 夕方の混乱は自然な症状で、叱らないこと
- 声かけ・照明・活動量で症状を和らげられる
- 家族・介護職で情報を共有してチーム対応

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