高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
介護現場では、日々のケアの中で「ヒヤッ」とする瞬間が少なくありません。
転倒しそうになったり、薬を間違えそうになったり──。
それらの“事故になりかけた出来事”をヒヤリハットと呼びます。
実は、このヒヤリハットを振り返ることで、重大事故を防ぐことができます。
今回は、介護施設でよくあるヒヤリハット事例と、その原因・対策をわかりやすく紹介します。

わすれもの
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🩹1. 転倒・転落のヒヤリハット
●事例
トイレに向かう途中、利用者がベッドから立ち上がり転倒しかけた。
職員がすぐに支えたため、ケガには至らなかった。
●原因
- ナースコールを押す習慣がついていなかった
- ベッド周囲に手すりや歩行補助具がなかった
- 職員が巡視するタイミングが遅れた
●対策
- 定期的な巡視と声かけを徹底
- ベッド周囲の環境整備(手すり・スリッパ位置)
- トイレ誘導の時間を決めて予防的ケアを行う
ポイント:「自分で行きたい」を尊重しながらも、“転ばせない工夫”が大切です。
💊2. 誤薬・薬の飲み間違いのヒヤリハット
●事例
Aさんに配薬する予定の薬を、同室のBさんに渡しかけた。
他職員が確認して気づき、未然に防止。
●原因
- 配薬の時間帯に職員が多忙だった
- 名前の確認を省略していた
- 薬袋やトレーの表示が見づらかった
●対策
- 「声に出してダブルチェック」を習慣化
- 名前・顔写真付きの配薬表を使用
- 配薬時は他作業を中断し、集中できる環境を整える
ポイント:「慣れた人ほど間違える」──確認の仕組みをチーム全体で共有しましょう。
🍽️3. 食事・誤嚥のヒヤリハット
●事例
利用者が食事中にむせ込み、のどに詰まりかけた。
職員がすぐに介助し、吸引対応で回避。
●原因
- 食事形態(刻み・ミキサー)が合っていなかった
- 職員が離れて他の対応をしていた
- 姿勢が崩れた状態で食べていた
●対策
- 食事前に「姿勢・形態・スピード」を再確認
- むせやすい利用者には見守り強化
- 食事介助時は“ながら作業”を避ける
ポイント:「ほんの一瞬の油断」が命に関わる。観察と声かけが事故を防ぎます。
🚪4. 介助中の挟み込み・ぶつかり事故
●事例
車椅子の移乗中に、利用者の手が肘掛けに挟まりそうになった。
職員が気づき、ケガはなし。
●原因
- 介助時の声かけが不足
- 車椅子やベッドの位置がずれていた
- 複数人介助の連携不足
●対策
- 介助前に「いきますよ」と必ず声をかける
- 機器位置・高さを正しくセット
- 新人職員への移乗指導を強化
ポイント:「慣れ」や「焦り」から起こる事故。基本動作の確認が最大の予防策です。
🧴5. 入浴時の滑倒・やけどのヒヤリハット
●事例
浴室でシャワーの温度を上げすぎ、利用者が驚いて立ち上がり転倒しかけた。
●原因
- 温度確認を怠った
- 浴室マットがずれていた
- 職員配置が不足していた
●対策
- 入浴前に湯温・床の状態を必ずチェック
- マット固定や滑り止め対策を強化
- 二人体制での入浴介助を徹底
ポイント:「安全確認 → 声かけ → 介助開始」の流れを習慣に。
📋まとめ:ヒヤリハットは“責める”ではなく“共有する”
ヒヤリハット報告は、誰かを責めるためのものではありません。
「同じことを繰り返さないための学び」として共有することが大切です。
職員同士で「こんなことがあった」「こうすれば防げたかも」と話し合うことで、
事故を未然に防ぐ“安全な職場文化”が育ちます。
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