介護施設で多いヒヤリハット事例5選|原因と再発防止のポイント

介護施設でのヒヤリハット事例をイメージしたイラスト。職員が利用者を支える安全対策の瞬間を描いた落ち着いた青系の室内風景。 介護

高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。

介護現場では、日々のケアの中で「ヒヤッ」とする瞬間が少なくありません。
転倒しそうになったり、薬を間違えそうになったり──。
それらの“事故になりかけた出来事”をヒヤリハットと呼びます。

実は、このヒヤリハットを振り返ることで、重大事故を防ぐことができます。
今回は、介護施設でよくあるヒヤリハット事例と、その原因・対策をわかりやすく紹介します。

わすれもの
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🩹1. 転倒・転落のヒヤリハット

●事例

トイレに向かう途中、利用者がベッドから立ち上がり転倒しかけた。
職員がすぐに支えたため、ケガには至らなかった。

●原因

  • ナースコールを押す習慣がついていなかった
  • ベッド周囲に手すりや歩行補助具がなかった
  • 職員が巡視するタイミングが遅れた

●対策

  • 定期的な巡視と声かけを徹底
  • ベッド周囲の環境整備(手すり・スリッパ位置)
  • トイレ誘導の時間を決めて予防的ケアを行う

ポイント:「自分で行きたい」を尊重しながらも、“転ばせない工夫”が大切です。


💊2. 誤薬・薬の飲み間違いのヒヤリハット

●事例

Aさんに配薬する予定の薬を、同室のBさんに渡しかけた。
他職員が確認して気づき、未然に防止。

●原因

  • 配薬の時間帯に職員が多忙だった
  • 名前の確認を省略していた
  • 薬袋やトレーの表示が見づらかった

●対策

  • 「声に出してダブルチェック」を習慣化
  • 名前・顔写真付きの配薬表を使用
  • 配薬時は他作業を中断し、集中できる環境を整える

ポイント:「慣れた人ほど間違える」──確認の仕組みをチーム全体で共有しましょう。


🍽️3. 食事・誤嚥のヒヤリハット

●事例

利用者が食事中にむせ込み、のどに詰まりかけた。
職員がすぐに介助し、吸引対応で回避。

●原因

  • 食事形態(刻み・ミキサー)が合っていなかった
  • 職員が離れて他の対応をしていた
  • 姿勢が崩れた状態で食べていた

●対策

  • 食事前に「姿勢・形態・スピード」を再確認
  • むせやすい利用者には見守り強化
  • 食事介助時は“ながら作業”を避ける

ポイント:「ほんの一瞬の油断」が命に関わる。観察と声かけが事故を防ぎます。


🚪4. 介助中の挟み込み・ぶつかり事故

●事例

車椅子の移乗中に、利用者の手が肘掛けに挟まりそうになった。
職員が気づき、ケガはなし。

●原因

  • 介助時の声かけが不足
  • 車椅子やベッドの位置がずれていた
  • 複数人介助の連携不足

●対策

  • 介助前に「いきますよ」と必ず声をかける
  • 機器位置・高さを正しくセット
  • 新人職員への移乗指導を強化

ポイント:「慣れ」や「焦り」から起こる事故。基本動作の確認が最大の予防策です。


🧴5. 入浴時の滑倒・やけどのヒヤリハット

●事例

浴室でシャワーの温度を上げすぎ、利用者が驚いて立ち上がり転倒しかけた。

●原因

  • 温度確認を怠った
  • 浴室マットがずれていた
  • 職員配置が不足していた

●対策

  • 入浴前に湯温・床の状態を必ずチェック
  • マット固定や滑り止め対策を強化
  • 二人体制での入浴介助を徹底

ポイント:「安全確認 → 声かけ → 介助開始」の流れを習慣に。


📋まとめ:ヒヤリハットは“責める”ではなく“共有する”

ヒヤリハット報告は、誰かを責めるためのものではありません。
「同じことを繰り返さないための学び」として共有することが大切です。

職員同士で「こんなことがあった」「こうすれば防げたかも」と話し合うことで、
事故を未然に防ぐ“安全な職場文化”が育ちます。


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