高齢者施設で相談員をしておりますわすれものです。
今回、特別養護老人ホーム(特養)の入所までの流れについて説明します。
申込めば、直ぐに入所出来る?
よく勘違いされているご家族もいらっしゃいますが、施設に入所申込みをしたからといって、直ぐに入所出来るわけではありません。
施設で行われる入所判定委員会で、申請された入所申込み書類をもとに、施設長始め、相談員や看護師、地域の民生委員の方と話し合いをし、点数付けを行います。
そして、名簿に載る事で、入所出来る権利を得ます。入所の空きが出れば、順番が高い方からお声掛けさせて頂き、そこで初めて特養入所となります。
入所判定委員会は何回あるの?
これは、施設によって回数が違います。年に2回から、多い所では4回程でしょうか。
もし、3月に入所判定委員会を行うのなら、2月末が締切になります。そして、入所判定委員会を行い、4月から名簿に載る事になります。
要介護度は関係ある?
2014年に行われた介護保険制度改革により、特養の入所申込みは、原則要介護3以上とされています。しかし、
- 認知症で在宅生活が困難
- 知的障害や精神障害等を伴い、在宅生活が困難
- 家族からの虐待
- 単身世帯、または同居の家族が高齢や病弱で、かつ地域での介護サービスが不十分で、在宅生活が困難
の、4つのどれかに該当すれば、特例入所という形で申込みも可能です。
申込み書類はどうやって点数付けされる?
本人様の状況
介護度が高い程点数は高くなります。
また、認知症度や障害者手帳の有無で、点数が加点されます。
介護サービスの利用状況
在宅サービス系だと、ショートスティやデイサービス。
施設系だと、病院や老健施設·グループホーム。
利用状況や入院期間等で、点数が違ってきます。
介護者の状況
- 世帯の状況(独居·高齢のみ·その他)
- 介護者の年齢
- 介護者の疾病や障害の有無
- 介護者の就労や育児、その他の介護
- 他の家族や近隣者となる介護者以外の協力支援の有無
特記事項
入所委員会の判断により加点していきます。
- 長期間の介護
- 在宅での医療処置が必要
- 住環境が適していない
- 遠距離介護である
- 病院、施設から退院·退所を迫られている
- 家族の介護拒否 等など
入所出来るまでどう待ったらいい?
「退院後、自宅に戻れないから入所したい」
「施設からの退所が迫っているので、直ぐに入所したい」
といったご家族からのご相談をよく受けますが、上記の通り申し込めば直ぐに入所出来る訳ではありません。
逆に、
「〇〇頃には入所出来るでしょうか?」
と、尋ねられますが、ベッドが空かない事には入所出来ませんので、分かるはずもありません。(ベッドが空くと言う事は、医療のニーズが高まり退所になったり、施設で永眠されるという事です。)
それを説明すると、「そしたらどうしたらいいの?」と、不安に駆られますが、入所までの繋ぎのサービスとして、ロングショートスティがあります。
ロングショートスティを使いながら、特養入所を待たれる方は、実際多くいらっしゃいます。
利用者にとって、ロングショートスティから特養入所になったとしても、制度が変わるだけで、生活スタイルや環境の変化はありません。
接するスタッフも、信頼関係は出来ていると思いますので、全く知らない新規の方が入所されるより、介護がしやすいメリットもあります。
入所申込みに来られるご家族には、様々な事情があります。「なんとなく申し込んでおこう」というご家族もいれば、状況的に切羽詰まっているご家族もおられます。
生活相談員としては、ご家族の背景を考慮して、一緒にロングショートスティの意向を確認していくのもポイントです。
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