高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
介護施設は「安全」が大前提ですが、残念ながら事故はゼロにはできません。
しかし、事故が起きる理由と統計から見える傾向を理解すれば、現場の予防力は大きく高まります。
この記事では、
・どんな事故が多いのか
・なぜ起きるのか
・今日からできる予防策
・家族が選ぶべき安全な施設
まで分かりやすくまとめました。

24時間スタッフはいますが、すべての事故を防げるわけではありません。だから、事故の予測や事故が起こった場合どう対応するか?常に勉強や研修を行っています。
介護施設ではどんな事故が多い?最新統計から見える現実
厚生労働省の公表データや自治体の事故報告統計では、介護施設で多い事故の傾向はほぼ共通しています。
1位:転倒・転落事故
もっとも多く、全体の4〜6割を占めます。
・立ち上がり時
・トイレ移動
・ベッドからの起き上がり
など“生活の当たり前の動作”で起きるのが特徴。
2位:誤嚥(食事中の事故)
食事は1日3回。
その分、誤嚥のリスクも高く、重症化しやすい事故です。
3位:施設内の環境による事故
・車いすのブレーキ忘れ
・段差や床の滑り
・ナースコールの巻き込み
など環境面で起きる事故も多数報告されています。
4位:介助中のヒューマンエラー
・連携不足
・業務の慌ただしさ
・新人の未熟
が重なると事故につながりやすくなります。

転倒・転落への対策は、どこの施設でも大きな課題です。
なぜ介護施設で事故が起きるのか(原因を深掘り)
事故は“たまたま”ではなく、多くは複数の要因が重なって起きます。
高齢者の身体機能の低下
筋力・バランス・認知機能の低下により、日常動作が不安定になります。
忙しさによる「確認ミス」
職員が少ない時間帯は特にリスクが上がります。
スタッフ間で情報が共有されていない
「今日だけ歩行が不安定」などの変化を共有しないと事故につながりやすくなります。
環境や設備の問題
床が滑りやすい、手すりの位置が合わないなども大きな要因です。
介護事故を防ぐために重要な“5つの視点”
日々の積み重ねが事故を大きく減らします。
転倒しにくい環境づくり
・段差をなくす
・杖や歩行器を取りやすい
・床の乾燥
・ベッド周辺の整理
声かけ・見守りの強化
「立つ前に声をかけてくださいね」など、事前の声かけが事故を防ぎます。
誤嚥予防の基本
・必ず座位を確保
・一口量を少なく
・食べるペースは急がせない
・食形態が合っているか定期確認
スタッフ間の情報共有
・その日の歩行状態
・精神状態
・薬変更
など「今日の情報」は特に重要。
個別ケアの見直し
歩行・認知の変化は日々起こります。
リスクアセスメントの更新が事故予防につながります。
統計から見える「事故が起きやすい時間帯」
事故は“いつでも同じ確率”ではありません。
●朝(起床〜午前)
体の動きが不安定。転倒が多い。
●食事前後
誤嚥・立ち上がり・移動の事故が発生。
●夜間帯
職員が少なく、転倒・徘徊・ベッドからの転落が増えます。

夜で視界が悪い、睡眠薬の影響、せん妄も原因になります。
家族が知っておきたい、事故の少ない施設の選び方
施設を選ぶ際、以下をチェックしてください。
①転倒対策が具体的か
・歩行訓練
・リハビリ
・環境整備
など明確に説明できる施設は信頼度が高いです。
②ヒヤリハットの可視化
事故だけでなく“ヒヤリ”も記録しているか確認を。
③スタッフ教育
新人研修・介助技術の統一ができている施設は事故が少ない傾向。
④夜勤体制や加算
夜勤配置・医療体制・リハビリ加算なども重要。
まとめ:事故ゼロは難しくても「減らすこと」はできる
介護施設の事故は完全に避けることは難しいですが、
統計から原因を知り、現場の小さな改善を積み重ねることで大幅に減らすことができます。
事故があれば発見したスタッフが「事故報告書」を作成しますが、これがスタッフの負担やペナルティを課せられたと、積極的ではない風潮もあります。
事故報告書は、事故の状況をスタッフみんなで把握し、同じ事故が起きないように方法を検討するためのものです。発見者を責めるものではありませんし、罰を与えるものでもありません。
「気づき」「共有」「確認」
この3つが事故予防の土台です。

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