高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
北海道・東北地方の地震で被害に遭われた皆さまへ、心よりお見舞い申し上げます。
介護施設では、地震直後の対応や設備点検など、いつも以上に緊張が続く状況だと感じます。
どうか、まずはご自身の安全を第一にお過ごしください。
介護施設は、地震が起きたとき “自力で動けない方が多い場所” です。
だからこそ、一般家庭とは比べものにならないレベルで準備が必要になります。
この記事では、
「介護施設の地震対策って、何から手をつければいいの?」
という疑問に答えながら、今日から見直せるポイントを分かりやすく紹介します。
まずは基本「地震発生時の動き方」をスタッフ全員が共有できているか
地震は突然きます。
そして大きな揺れの中で、マニュアルを読み返す余裕はありません。
施設では最低限、
- 自分の身の守り方(頭部保護・安全確保)
- 利用者の安全確認の順番
- 揺れがおさまってからの避難判断
- エレベーター停止時の対応
これらを“流れで思い出せる”状態であることが大切です。
特に夜勤は少人数のため、
「夜勤者用の地震マニュアル」 を分けて作るとミスが減ります。
ベッド上・車イスの利用者への“個別対策”は十分か?
介護施設の地震対策で見落とされがちなポイントが、
「利用者ごとにリスクが違う」ということ。
- ベッド上の方 → 転落防止策、頭部保護の準備
- 車イスの方 → 移動ルートの確保
- 認知症の方 → 揺れで不安が強まりパニックの可能性
特に認知症の方には、
「大丈夫ですよ」「そばにいますよ」
という声かけが安心につながります。
転倒・落下物を防ぐ“環境整備”が一番の地震対策になる
大地震でケガをする原因の多くは、揺れそのものではなく家具の転倒・落下物です。
チェックすべきポイントは…
- 大型家具にL字金具
- 食器棚や書類棚の固定
- テレビ・パソコンの転倒防止
- 廊下・食堂・トイレの動線の確保
- 居室の棚の上に物を置かない
特に“夜勤帯の薄暗い時間”は落下物が危険なので、
事前の片付けと固定が利用者の命を守ります。
備蓄の量と質は「3日以上」が必須
介護施設は、一般家庭よりも必要量が多いです。
最低限必要なものの例:
- 水(1人1日3L × 3日以上)
- 介護食・栄養ゼリー
- パウチ食品・レトルト食品
- 使い捨て手袋・おむつ・尿とりパッド
- ウェットティッシュ・防寒具
- 携帯トイレ(最重要)
特にトイレ問題は地震後に深刻化します。
高齢者は排泄環境が不安定になると、健康を崩しやすいため、早めの準備が重要です。
連絡体制と“家族への情報共有”が混乱を防ぐ
地震直後、家族が最も気にするのは
「施設は無事か?本人は大丈夫か?」 です。
施設としては、以下の体制を整えておくと安心です。
- 優先的に家族へ発信する情報のフォーマット
- ホームページやSNSでの迅速な発信
- ライフライン停止時の連絡方法(衛星電話・災害用伝言)
- 近隣施設との協力体制
特に、
「利用者は落ち着いています」
「建物は安全確認が取れています」
などの“心理的安心”を伝えることは非常に効果的です。
まとめ|介護施設の地震対策は「命」と「安心」を守る準備
介護施設では、地震が起きたときの対応力が“利用者の命”を左右します。
- 地震時の動き方をスタッフ全員が理解
- 個別ケアのリスクを把握
- 家具の固定と環境整備
- 3日以上の備蓄
- 家族への迅速な情報共有
今日できる対策から一つずつ整えていけば、
地震が来ても「慌てず動ける介護施設」に近づいていきます。

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