高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
はじめに
介護の仕事や家庭での介護は、とてもやりがいがある一方で、大きなストレスと隣り合わせです。
「なんでわかってくれないんだろう」
「今日も同じことを繰り返して…もう限界かも」
そんな思いが積み重なると、心の中に「怒り」が芽生え、時には虐待につながってしまう危険性もあります。
もちろん、虐待は絶対にしてはいけないことです。
でも「虐待しそうになる気持ち」を誰もが抱く可能性があるからこそ、感情をコントロールし、冷静に戻る方法を知ることがとても大切なのです。
この記事では、介護の勉強中の方や現場で働く方に向けて、虐待につながる前にできる6つの対処法をお伝えします。

「イライラしている自分」に気づく
介護のストレスは、突然爆発するのではなく、少しずつ積み重なっていきます。
- 同じ質問を何度もされる
- 食事や排泄の介助がうまく進まない
- 思い通りに動いてくれない
こうした小さな出来事が積み重なると、心は限界に近づきます。
そこで大切なのが、「今、自分はイライラしている」と気づくことです。
気づかないまま我慢を続けると、ある日突然爆発してしまいます。
まずは「私は今ストレスを感じている」と受け止めることから始めましょう。
感情の温度を下げる「呼吸法」
怒りが込み上げてきたら、すぐに深呼吸をしましょう。
ポイントは、
- 4秒かけて息を吸う
- 7秒止める
- 8秒かけて息を吐く
この「4-7-8呼吸法」は、感情の高ぶりを落ち着ける効果があると言われています。
介護の現場でも、自分の心を整える小さな習慣として役立ちます。
その場を「離れる」勇気
どうしても抑えられない時は、一度その場を離れることも必要です。
- 同僚に数分だけ交代をお願いする
- 家庭介護なら、別室に移動して深呼吸する
- トイレや水分補給で気持ちを切り替える
たった数分でも距離を置くことで、冷静さを取り戻せます。
「完璧を求めすぎない」
介護職や家族介護者ほど「ちゃんとしなきゃ」と思いがちです。
しかし、完璧な介護など存在しません。
- 思い通りにいかないのが当たり前
- 怒りが出るのも人間らしさ
- できる範囲で関わるのがベスト
このように考え方を少し緩めるだけで、虐待のリスクは下がります。

「話せる相手」を持つ
孤立は虐待の最大の原因です。
- 職場の先輩や同僚
- ケアマネジャーや地域包括支援センター
- 家族や友人
- 介護職向けの相談窓口
誰かに「もうしんどい」と話すだけで、気持ちが軽くなります。
一人で抱え込まないことが、何よりの予防策です。
専門機関のサポートを利用する
介護職の場合は、事業所の研修やメンタルケアの仕組みがあります。
家庭介護なら、ショートステイやデイサービスを利用して「介護を休む時間」を作ることも重要です。
「休むのは悪いこと」ではありません。
介護者が元気でいることこそ、長続きするケアの基本です。
まとめ
介護で虐待が起こる背景には、過度なストレス・孤立・完璧主義があります。
だからこそ、
- 感情に気づく
- 呼吸や距離でクールダウンする
- 誰かに相談する
- サポートを積極的に利用する
この4つを心がけることが、虐待防止につながります。
介護は「人と人」との関わりです。
あなたがまず自分を守ることが、利用者さんやご家族を守ることにつながります。
コメント