高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
介護現場には「接遇」という言葉があります。これは単に丁寧な言葉遣いや笑顔のことではありません。ご利用者はスタッフの何気ない態度や行動を日常的に見ており、そこから信頼・安心・好意が生まれるからです。
介助が上手いかどうかよりも、「この人なら任せられる」と思ってもらえるか。その評価は、実は小さなシーンの積み重ねによって形成されます。

介護の現場は、ご利用者の生活空間に入り込む仕事です。説明が上手かどうかよりも、信頼されるかどうか。
礼儀や丁寧さが求められます。
接遇とは何か?表面のマナーではなく“心の姿勢”
接遇という言葉は、医療や福祉分野では聞き慣れていますが、改めて定義すると以下の通りです。
接遇=相手を尊重し、安心と信頼を感じてもらうための「態度」「言動」「姿勢」のこと
多くの人は「接遇=笑顔・声掛け・言葉遣い」と考えがちですが、本質はもっと深く、相手の価値を損なわない扱い方にあります。
・利用者を子供扱いしない
・否定せず受け止める
・急かさず、ペースに寄り添う
・見えないところでも雑にしない
こういった姿勢は言葉よりも強く伝わります。
ご利用者はスタッフをよく見ている
介護現場は、心理的に非常に繊細な環境です。ご利用者にとって、スタッフは生活の大部分を支える存在であり、自分の尊厳に直接触れる相手です。
だからこそ、ご利用者は意外なほど細かいところを見ています。例を挙げると…
- 他の利用者への話し方
- ご家族への対応
- スタッフ同士の会話や空気
- 忙しい時の表情
- 困った人への接し方
- 物の扱い方(投げる・置く・丁寧・雑)
ここに演技は通用しません。演技はすぐにバレるからです。
逆に言えば、これらが丁寧であるほど、
「この人にお願いしたい」
「この人なら安心できる」
という評価につながります。
評価は「介助中以外」で決まることが多い
施設では以下のような特徴的な場面があります。
- レクリエーションの準備中
- 送迎中の車内
- ナースコール対応後の表情
- 申し送りの間
- 疲れた時のひと息
- 新人への教え方
こうした瞬間にこそ、人としての品や優しさが現れます。
特に新人へ冷たかったり、利用者の前で愚痴を言ったり、忙しさを顔に出したりすると、一瞬で信頼を失うこともあります。
つまり接遇とは介助の上手い下手ではなく「人への扱い方」で評価されるのです。
利用者は“誰に任せたいのか”を心の中で選んでいる
利用者は意外なほどスタッフを選んでいます。
「あの人に髪を乾かしてほしい」
「あの人に相談したい」
「あの人なら話しやすい」
これは言葉に出ない“心理的な指名”です。
そしてその基準となるのは、圧倒的に接遇です。
・話を遮らない
・共感してくれる
・丁寧に扱う
・名前で呼んでくれる
・尊重してくれる
こういった積み重ねの結果、利用者は「自分を大切にしてくれる人」を見抜きます。
接遇は技術よりも人格に関わる
接遇は研修で形だけ真似しても、本質は身につきません。ポイントは以下です。
- 自分の価値観を変えられるか
- 相手を尊重する理由を理解できるか
- 人間として未熟さを認められるか
- “雑な扱い”に敏感になれるか
結局のところ接遇は、相手を「人として扱う」感受性です。
この感受性の差が、利用者からの評価の差になる
介護は技術産業ではなく、人間産業です。だからこそ人格が介護の質に直結します。
まとめ|接遇は“見られている瞬間”の連続
介護職は「見られている仕事」です。しかしその窮屈さではなく、逆に言えば「小さな行動で信頼を積み上げられる仕事」でもあります。
接遇とは、言葉遣いではなく姿勢のこと。利用者はスタッフをよく見ています。そして介助中以外の行動で評価が決まることも多いです。
だからこそ、目指すべき接遇はこうです。
“相手の尊厳を損なわない扱い方を徹底すること”
これがあれば、「あの人にお願いしたい」という心理的指名が増え、利用者も家族も安心できる現場になります。

介護職は「お世話する」「お手伝いをする」立場であると同時に、ご利用者やご家族から、評価される立場でもあります。その状況を理解しておくことは大切です。
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