家族からの苦情、報連相の重要性

介護

高齢者施設で相談員をしておりますわすれものです。

今回、家族から苦情を頂きましたので、相談員としてその経緯と今後の対応について考察していきます。

午後に、手の痺れの訴え

施設に入所されている90代のA様。午後に、ご本人から『なんとなく手が痺れる』と、訴えがありました。

日勤リーダーは、看護師へ報告。看護師より、バイタルチェック·左右の握力の差異·足踏み運動を確認したところ、特に異常は見られなかった為、様子観察をするようスタッフに指示を出しました。

夕食時、箸が持てない

『箸が持てない』と、訴えがありました。日勤リーダーは、箸からスプーンに変更すると、自力摂取が見られました。夕食後臥床する際、再度ご本人に、左右の握力の差異·手の上下運動·足踏み運動を確認しましたが、異常なく、声掛けにも『大丈夫よ』と返事されました。

ポータブルトイレに座りたいが立てない

普通だと、ご自身で立ち上がって(センサーコール反応)、排泄動作も見守り対応レベルですが、その夜はうまく立ち上がれず、不安定が見られました。

もともと夜間のトイレが多いA様ではありますが、回を重ねる事に立てなくなり、希望でパットを当ててその日の夜間は過ごして頂きました。

血圧測定を行いましたが、異常な数値ではなく、夜勤リーダーに状況を報告しましたが、様子を見ましょうとなりました。

起床時、座位の傾きがあり上手に座れない

7時頃、声掛けをして起き上がりの介助を行いましたが、体の傾きがあって上手く座れません。右の握力も弱く感じるため、離床せずそのまま臥床し、早出看護師へ報告。早出看護師から看護師長へ、昨夜からの状況を電話で報告すると、脳梗塞の疑いあると判断。

直ぐに嘱託医へ連絡を行い、紹介状をもとに近隣の病院へ受診。診断の結果、軽い脳梗塞で入院となりました。

家族の心情は?

電話で昨日から夜間の状態を伝え、病院受診をお伝えしました。動揺されたご様子でしたが、直ぐに病院に駆けつけるとの事。付き添いの看護師より、病院で再度状況報告。その時は、『仕方ないですね』と、ご理解されてましたが、夕方施設に電話が入りました。

『どうして、「箸が持てない」と言った時に、病院に連れて行って貰えなかったのでしょうか?』と。

振り返りのポイント

今回の経緯経過をまとめると

  1. 日中手の痺れがあったが、看護師の確認では異常がないと判断した。
  2. 箸が持てないと訴えがあったが、スプーンを渡すと食事が出来た。そのため、経過を看護師に伝えていなかった。
  3. 臥床時、再度本人様の状態を確認したが、異常は見られず、ご本人からも『大丈夫』と話された。
  4. 夜間のポータブルトイレ使用時、いつもと状況が違ったが、バイタルは異常なかった。夜勤リーダーに報告をしたが、様子を見るように指示があった。

家族は、「箸が持てない」という状況に、どうして病院へ行くという選択が出なかったのか?疑問を訴えています。家族からすれば、急変時の対応を、如何に迅速してくれたかが、評価に繋がりますこちらの反省点としては、

(2)の段階で看護師へ報告が出来ていなかった事

(5)夜勤リーダーに報告したが、看護師へオンコール体制を取らず、様子見るように指示を出した事

が、挙げられます。全て結果論の話になってしまいますが、箸が持てない事実があったのならば、日中の痺れを考慮すると、日勤者または夜勤者が、看護師へ報告すべきだったと思われます。

そして、夜勤の申し送り時に、看護師より日中のA様の状況報告もあっていました。A様がいる階層夜勤者から報告があったのならば、夜勤リーダーは、オンコール当番の看護師へ報告するべきだったと思われます。

様子を見る基準も、リーダーによって判断が分かれます。緊急性かそうではないか、適切な判断が求められるリーダーには、その責任が問われます。日頃から、どのタイミングで看護師へ報告すべきが、その基準を明確にしておくのも重要です。

夕食時の出来事であるなら、これからどのような事が起こりうるか?夜間帯、看護師がいない施設であれば、夜勤者には事前の心構えとして、指示を仰いでおくのも必要です。

今回、ご本人·ご家族には、大変ご心配とご迷惑をお掛けしました。これから、A様はリハビリ目的で転院されますが、今までのような生活に戻る事は難しいと、話があっています。ご家族は、退院後は当施設に戻ってきたいとおっしゃっています。

相談員としては、施設とご家族の信頼関係の再構築の為に、誠意を持った姿勢で、向き合っていきます。

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