【認知症ケア】ストレスを溜めない“スルー力”の身につけ方5選|イライラしない関わり方のコツ

認知症ケアでストレスを抱える介護者が、アンガーマネジメントの一つとして“スルー力”を使い、落ち着いて対応しようとしている様子を表すイラスト 介護

高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。

結論から言うと、
認知症ケアで心の負担を減らす最大のポイントは「スルー力」を身につけることです。

スルー力と聞くと「冷たい対応?」「ちゃんと向き合ってないのでは?」
と心配される方もいますが、実際にはまったく逆。

スルー力は、
認知症の方とのやり取りを穏やかに保ち、介護者が疲れすぎないための“前向きな技術” です。

わすれもの
わすれもの

介護現場でのスルー力は、ご利用者の理不尽な言葉や職場の人間関係ストレスを軽減し、心の消耗を防ぐ必須スキルとしてとても大切です。


認知症ケアに必要なのは「スルー力」です

認知症の方が発する言葉の背景には、
“不安”“戸惑い”“環境の変化”など、多くの感情が隠れています。

たとえば、

  • 「帰りたい」=今の場所が不安
  • 「財布返して」=自分のコントロールが効かなくなる不安
  • 「あんた誰?」=理解できない状況への恐怖

こうした「感情の揺れ」に対し、
一つひとつ丁寧に説明しようとすると、介護者の心が先に疲れてしまいます

だからこそ、
理屈ではなく“感情”を受け止めて、必要以上に反応しない技術=スルー力が必要
なのです。


なぜ認知症の対応はストレスが溜まりやすいのか

理屈が通らない場面が多い

本人の世界観の中で会話が進むため、説明がかみ合いにくくなります。

スタッフ
スタッフ

どうして分かってもらえないの・・・

同じ質問を繰り返される

こちらがどれだけ丁寧に答えても、次の瞬間には忘れてしまうことがあります。

スタッフ
スタッフ

さっきも話しましたよ!

暴言や否定を受けることがある

症状による言葉だと分かっていても、「否定され続ける」ことに心が削られます。

スタッフ
スタッフ

お手伝いしているのに・・・

介護者の疲れがそのまま反応に出る

ストレスが溜まると、普段なら流せる言葉にも反応してしまいがち。

スタッフ
スタッフ

うまくいかないなぁ・・

こうした積み重ねが、
「イライラ」「疲労」「自己嫌悪」 につながりやすいのです。


ストレスを減らす「スルー力」5つの方法

間違いの指摘をしない

正す必要のない場面なら、無理に訂正せず、話を合わせる方がスムーズです。
相手の安心感を守ることで、結果的にトラブルも減ります。


感情の“第一波”を受け流す

暴言や強い言葉は、本人が状況を理解できず混乱しているサインです。
「今は不安なんだな」と心の中でラベル付けしてみると、受け止め方が変わります。


返事は短く・ゆっくり・低い声で

介護者のトーンが落ち着いていると、相手の感情も自然と安定します。
これは専門職も家族介護も同じで、非常に効果が高い方法です。


気持ちを変える「話題転換」

話を否定するのではなく、
“方向をそっと変える” イメージです。

  • 外の天気の話
  • お茶をすすめる
  • 「一緒に行きましょう」と歩いてみる

環境が変わると、気持ちが切り替わりやすくなります。


完璧に関わろうとしない

真面目な人ほど「全部に応えないと」と頑張りすぎてしまいます。
でも、認知症ケアは “70点でちょうどいい” くらいが続けやすいのです。


スルー力は「冷たい」ではなく“優しい距離感”

スルー力とは、
相手を否定せず、衝突を避けながら関係を保つための優しい方法です。

認知症ケアは、
言葉の正しさよりも、雰囲気の安心感 の方がずっと大切です。

  • 味方でいる
  • 否定しない
  • 空気を整える

この3つができていれば、スルー力は十分発揮されています。


家族も介護職も、自分を守ることから始めていい

イライラしたり、疲れたりするのは、あなたが悪いのではありません。
人間として当たり前の反応です。

だからこそ、

  • 休む
  • 距離をとる
  • 手を抜く時は抜く

この3つを上手に取り入れることが、長く関わり続ける力になります。

スルー力は、
あなた自身の心を守るために必要な“技術”です。
少しずつ取り入れるだけで、日々の介護がぐっと楽になりますよ。

わすれもの
わすれもの

専門職という介護職でもイライラしてしまいます。忙しさや焦りでイライラしたまま関わると、その空気は不思議とご利用者に感染します。落ち着かない、不安そう、怒りっぽくなる…。感情は連鎖します。だからこそ、“スルー力“を身につける。これも長く介護を続けるための、立派な技術です。

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