高齢者施設で相談員をしていますわすれものです。
はじめに
「親が認知症になった。」
この現実を受け止めるのは、とても勇気のいることですよね。
「もっとちゃんと見てあげなきゃ」「私がしっかりしないと」――そう思うほど、心も体も疲れてしまうものです。
介護は長い道のり。完璧さを求めすぎず、まずはご自身の心を守ることが大切です。この記事では、認知症のご両親を介護するご家族の方が少しでも楽になれる「心構えのヒント」をお伝えします。
1. 「認知症は病気である」という理解が心を守る
親が認知症になると、「なんで分かってくれないの?」「あんな人じゃなかったのに」と心が傷つくことが多いものです。
でも、認知症は“性格が変わった”のではなく、脳の働きが病気によって変わっただけです。
- 昨日話したことを忘れる
- 怒りっぽくなる
- 物を取られたと訴える
これらはすべて病気の症状であり、「親のせいでもない」「自分のせいでもない」と考えることで、気持ちが少し楽になります。
2. 「できないこと」より「できること」に目を向ける
認知症が進むと、「あれもできなくなった」「これも無理になった」と感じる場面が増えますよね。
でも、まだできること、まだ一緒に楽しめることもたくさんあります。
- 一緒に食事をする
- 昔の話を聞く
- 散歩に出かける
こうした「できること」に目を向けることで、お互いの関係も穏やかになります。
3. 「一人で抱え込まない」という勇気
介護をしていると、「私が頑張らなきゃ」「家族だから当然」と思いがちですが、それが一番の心の負担になります。
介護は一人で抱え込むものではなく、チームで取り組むものです。
- ケアマネジャーに相談
- デイサービスやショートステイを活用
- 親戚や友人に話を聞いてもらう
「頼ることは恥ずかしいことではない」と思えるだけで、心が軽くなります。
4. 「完璧な介護」を手放す
「母を一人にしてはいけない」「父の世話を完璧にしないと」と思うほど、疲れ切ってしまいます。
完璧な介護は必要ありません。
- ご飯は時々お弁当でもいい
- 掃除が行き届かない日があってもいい
- 時には「今日は何もしない日」があってもいい
介護者が倒れてしまったら元も子もありません。ご自身の心と体を守ることが、一番大切な介護です。
5. 「今の時間」を大切にする
認知症になると、昔の親の姿と比べて悲しむことが多いものです。
でも、「今」の親と過ごせる時間は、かけがえのないもの。
- たとえ同じ話でも、笑って聞く
- 小さな変化を一緒に楽しむ
- その日の気分を大切にする
昨日のことを忘れてしまう親でも、「今日一緒に笑った」という気持ちはきっと残ります。
おわりに
認知症の介護は、出口の見えないマラソンのように感じることもあります。
でも、無理せず、完璧を目指さず、小さな「できた」を積み重ねることが、介護を続ける力になります。
あなたが一人で頑張っていることを、ちゃんとわかっている人はいます。
もし心が折れそうなときは、専門職や周りの人にぜひ頼ってください。
あなたの笑顔が、ご両親にとって一番の安心ですから。
コメント