高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
はじめに
介護の現場では、言葉以上に“雰囲気”が伝わる場面が多くあります。
特にご利用者は、スタッフの表情や動き、声のトーンなどを敏感に感じ取っています。
それは、
「この人は安心できるか」
「今は話しかけてもいいのか」
「今日は大丈夫そうか」
といった“空気”を判断するため。

ご利用者は、あなたをしっかり見ています!
あなたの雰囲気ひとつで、ご利用者の気持ちは安心にも不安にも変わります。
この記事では、介護職が知っておきたい「雰囲気が与える影響」と「安心につながる関わり方」を、今日から実践できる形でお伝えします。
ご利用者は、言葉より“あなたの雰囲気”を見ています
● 雰囲気は言葉より先に届く
「おはようございます」と同じ挨拶でも、
・焦っている声
・ぶっきらぼうな声
・疲れ切った声
では、ご利用者の受け取り方はまったく違います。
特に高齢の方や認知症の方は、言葉の意味より
声の高さ・速さ・表情・動きの柔らかさ
といった“非言語”を手がかりに安心を判断します。
● 認知症の方ほど「雰囲気」で判断している
認知症が進むと、言葉の内容の理解が難しくなります。
そこで頼りにするのが、スタッフの雰囲気そのもの。
- この人は優しそうか
- 自分に敵意がなさそうか
- ゆっくり関わってくれそうか
こうした“空気の読み取り”が、認知症の方の安全や安心につながっています。
スタッフの雰囲気が「安心」「不安」を左右する理由
● 安心につながるサイン
ご利用者が安心するときは、こんなサインが見られます。
- 表情が柔らかくなる
- 声が落ち着く
- 身体のこわばりが減る
- 声をかけると素直に応じてくれる
これは、スタッフの雰囲気が「ここは安全だ」と伝わっている証拠です。
● 反対に、不安につながるサイン
スタッフの雰囲気が乱れていると、ご利用者はすぐに気づきます。
- 早歩き・バタバタした動作
- 無表情・疲れた顔
- 声が強い
- 目を合わせない
- ため息が多い
ご利用者は自分の身を守るため、こうした変化を本能的に察知しています。
「なんだか落ち着かないな…」と感じさせてしまうと、拒否・不安・混乱につながることもあります。
ご利用者が“安心できるスタッフ”と感じる5つの特徴
介護歴が長いベテランに共通しているのは、特別な技術ではなく雰囲気の安定感です。
その特徴は次の5つ。
動作がゆっくり
早く仕事をこなすことも大切ですが、目の前のご利用者には「ゆっくり」が安心。
柔らかい表情
無理に笑顔を作る必要はありません。
“敵意がない”表情だけで十分安心になります。
話を聞く姿勢がある
話す前の「うなずき」や「相づち」だけでも、
「この人は受け止めてくれる」という安心感が生まれます。
声の高さと速さが安定している
大きくなくていい。
落ち着いたトーンがもっとも伝わります。
作業中でも一言添える
「あとで伺いますね」
「気にしていますよ」
という一言が、ご利用者の不安を大きく減らします。
逆に、ご利用者が“不安になるスタッフ”の共通点
こういう共通点があります。
- 目が合わない(忙しすぎる・余裕がない)
- 声が強い
- 表情に疲れが出ている
- 近づくスピードが速い
- 話し方が冷たい
ご利用者は、こうした雰囲気から
「この人は怖いのかな」
「忙しそうだから迷惑かな」
と感じ取り、遠慮・緊張・拒否につながります。
今日からできる“安心を届ける雰囲気”5つのコツ
深呼吸をしてから近づく
まず、スタッフの心が整うことが大事。
落ち着いて近づくと、それだけで安心を与えられます。
短い挨拶で距離を縮める
「おはようございます」
「ちょっと顔を見に来ましたよ」
短い言葉が効果的です。
動きをゆっくりにする
急いでいても、近づく瞬間だけゆっくりにするだけで印象が変わります。
目線の高さを合わせる
目線が合うと安心する。
これは認知症の方にも共通です。
作業中でも一言添える
無言の作業は不安につながります。
ひとこと添えるだけで「見捨てられていない」という安心につながります。
まとめ|雰囲気は、あなたの人柄そのもの
- ご利用者は、あなたの雰囲気を敏感に見ています
- 言葉より雰囲気のほうが理解されやすい
- 安心・不安は、スタッフの小さな行動で変わる
- 特に認知症の方は雰囲気を頼りに世界を理解している
- 今日からできる小さな習慣が、ご利用者の毎日を穏やかにする
介護は“雰囲気の仕事”です。
あなたの自然な優しさや丁寧さは、ご利用者に確実に届いています。
無理に完璧を目指さなくても大丈夫。
目の前の方が「この人なら安心」と思える雰囲気を、一緒につくっていきましょう。

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