高齢者施設で生活相談員をしておりますわすれものです。
自由に出来ていた家族面会。ただ、コロナ禍により面会のあり方が大きく変わりました。ようやく以前の面会の形に戻ってきていますが、それでも施設によっては事前の予約制・短時間と制限があるのが現状です。
介護施設における家族面会は「職員の段取り」で決まる
家族面会は、ご利用者にとって大きな楽しみであり、家族にとっても安心を得られる大切な時間です。
しかしその裏側では、職員の段取りや声かけ次第で、面会が安心にも不安にも変わります。
トラブルを防ぎ、安心して過ごしていただくために、職員が押さえるべきポイントを整理しました。

家族はいろんな思いで面会に来られています!
注意点①:面会前の「事前説明」でトラブルを予防
家族が面会に来られた際、最初の説明で混乱が起こることが多くあります。
▼ 職員が気をつけるポイント
- 面会ルール(時間・人数・場所)を最初に簡潔に伝える
- 認知症の方や体調の変化がある場合も軽く共有
- 「写真撮影の可否」は最初に伝えると後で揉めない
例)
「今日は少しお疲れ気味なので、短めの面会が安心かもしれません」
と一言添えるだけで家族も心の準備ができます。

ご利用者の身だしなみ(寝癖や洋服、爪など)や車椅子の清掃にも気をつけましょう。
注意点②:個人情報の保護と声かけの仕方
家族面会はスタッフ以外の人がフロアに入るため、個人情報の漏洩リスクが高まります。
▼ 気をつけること
- ほかの利用者の名前や状態を絶対に言わない
- カルテや記録が見える場所には誘導しない
- 案内時は「○○様のご家族ですね」と明確な確認をする
また、会話が筒抜けになる場面もあるため、声のトーンにも配慮が必要です。
注意点③:認知症の方への配慮は“説明より雰囲気”
面会中、認知症の方は「状況が分からず混乱する」ことがあります。
▼ 職員がフォローできること
- ご本人が混乱したら、家族より先に職員が介入
- 言葉で説得せず、「一緒にいましょう」と雰囲気で安心を
- 家族が不安そうなときは小声でポイントを伝える
■ よくある場面
- 家族を忘れてしまって気まずい空気
- 帰宅願望が強くなり荒れそうになる
ここで職員が柔らかく介入することで、家族の安心度が大きく変わります。
注意点④:差し入れ・持ち込み物の確認
差し入れはトラブルが最も起きやすい部分です。

出来れば、ご本人に直接渡されるのではなく、スタッフへ渡していただく方が安全ですね。
▼ 必ず確認したいこと
- 食物アレルギーや嚥下リスク
- 飲み物の量(誤飲・一気飲み防止)
- 危険物・刃物類などが混ざっていないか
- 持ち込み物には名前を書く
▼ 特に注意
- お菓子の“勝手な持ち帰り”
- 危険なサイズの食べ物
- 誤嚥の多い方へのゼリー以外の差し入れ
「差し入れチェック表」を作成してスタッフ間で情報共有出来ると安心です。
注意点⑤:他利用者のプライバシーに配慮した誘導
面会時はどうしても人の動きが増えます。
▼ 気を付けたい点
- ほかの利用者の部屋が見えない導線を案内
- ベッド周りの写真撮影は禁止を明確に伝える
- 廊下で立ち止まりすぎないよう誘導
プライバシーへの意識が低い家族もいるため、職員の自然な声かけが重要です。

他利用者へのスタッフの声掛けにも注意しましょう。ご家族の耳に入ってくる言葉が荒いと、「家族がいないところでは、いい加減な声掛けをしているのでは・・」と不信感につながります。
注意点⑥:面会時間・体調チェックの管理
面会は長くなると、ご本人が疲れてしまうことがあります。
▼ 職員ができること
- 開始時に「◯分ほどが安心です」と共有
- 長時間になりそうなら途中でフォロー
- 面会中に体調変化がないかこっそり見守り
- 面会前後のバイタル・表情を確認
面会後に体調を崩すケースは意外と多いので、見守りは必須です。
注意点⑦:面会後のフォローと記録の徹底
面会後の対応は、施設の印象を左右します。
▼ 職員のポイント
- 「今日は来てくださってありがとうございました」と一言添える
- 面会中のご本人の様子を家族へフィードバック
- 記録には「家族の表情・反応」も書いておく
職員が丁寧に関わることで、家族の安心度は大きく上がります。

日々の状況をスタッフから説明してもらうと、家族も安心されます。
「安心できる面会」は職員のひと言と段取りで決まる
家族面会は、単なる“面会対応”ではなく、
ご利用者と家族の関係を支える大切なサポート業務です。
職員のちょっとした一言、表情、声かけが
「安心できる面会だった」と家族の心に残っていきます。
現場での経験を活かし、
それぞれの施設に合った面会対応を磨いていきましょう。

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