家に帰りたいと願う利用者        家に帰れないと思うケアマネージャー

介護

高齢者施設で相談員をしておりますわすれものです。

今回、ショートスティ利用者とケアマネジャーに板挟みをされている状況にあります。生活相談員として、その思いを綴っていきたいと思います。

ショートスティA様の状況

現在、施設のショートスティ利用中であるA様は、自宅で生活されている際、転倒され骨折。病院に入院されていましたが、退院期限が迫り、ロングショートスティという利用で施設に来られました。

A様のアセスメント

  • 移動は、歩行器があるが車椅子を使用
  • 立ち上がりには、介助が必要な時がある
  • 排泄動作は、ズボン·パンツの上げ下げに介助が必要
  • 状況を把握するのに時間を要する(楽観視される)
  • 人の言葉を聞き入れない、頑固な性格。
  • 認知症はないが、軽度の知的障害がある

施設に来られての口癖は、『家に帰りたい』『いつ帰れるの?』ばかりです。『ケアマネジャーに確認して』と、現場のスタッフを呼び止め、その度に生活相談員である私に報告がきます。

また、介護老人福祉施設は、生活の場であることから、積極的なリハビリは行っておりません。入院中は、自宅復帰を目指してのリハビリの時間もあるため、その違いについての不満もおっしゃいます。

『ここ(施設)にいては、ますます家に帰れなくなる。』

ケアマネジャーの視点

長い付き合いだからこそ、その方の性格や特徴を把握されています。まずケアマネジャーによれば、自宅での生活は難しいと判断。

  • 自宅はゴミ屋敷で、段差が多く住める環境ではない
  • トイレ動作が自立ではない

この2点を挙げられます。自宅に戻って生活となると、その片付け作業に何十万と掛かるらしいです。そして、トイレが自分で出来ることを最低条件で挙げていますが、それが出来ていない。これをA様に説明されていますが、『大丈夫』の一点張り。息子様もいらっしゃいますが、別居。本来なら、息子様が現実を理解してもらうよう説得し、自宅での生活が困難であることを説明してほしいところですが、この息子様がある意味母の言いなりで、論破出来ない性格の方。

ケアマネジャーに、リハビリの希望が出ていることを伝えますが、実際には病院で積極的にリハビリをする事もなく、欠席される事が多かったそうです。入院中、老健の提案も行ったようですが、そういう理由で、ロングショートスティを利用する事になりました。

やってみないと分からない

私とケアマネジャー·A様·息子様と四人で、今後について話し合いをしました。結論から申し上げると、一泊二日で自宅に帰るという形に収まりました。

A様は、自宅での移動もままならないと考えられます。転倒するリスクも高いと思われます。息子様の介護力を問われると、経験もなくあたふたしてしまう光景が浮かび上がります。トイレの排泄介助を、きちんと対応出来るのか疑問に残ります。それでも、

『家に帰りたい』

『母がそう言うなら…』

そしたら、一度自宅に帰って生活してみましょうとなりました。勿論ケアマネジャーには、自宅での生活が困難だったと身を持って分かって頂く事に狙いがあります。A様も『やっぱりここ(施設)がいい』と思って頂けたら、ストレスなく生活が出来ると思います。もしかしたら、以外にも自宅で生活出来るかもしれません。検討·推測することは重要ですが、実践してどうだったのかと振り返る事を大切です。

施設の生活は拘束がいっぱい

施設で生活するという事は、ある意味生活自体に制限が掛かった状態生活の拘束と言っても過言ではありません。

  • 決まった時間に起こされ
  • 栄養を考慮した食事が出され
  • 入浴日·時間も決まっており
  • やりたくもないクラブ活動に参加され
  • 寝たくもないのに、臥床させられる

A様は、この事についても不満をおっしゃっていました。生活の場であるからこそ、本来は本人様が望む生活スタイルが求められます。いつまでも施設の流れに利用者を合わせては、近い将来利用者像が変わってくる中、施設が生き残る事も難しくなっていくのかもしれません。

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