高齢者施設で相談員をしておりますわすれものです。
介護サービスを提供する介護事業所では、通常、数年に一度の頻度で『実地指導』と呼ばれる行政チェックが入ります。コロナ禍で、現在は「延期」という形で見合わせている所も多いようですが、いつか必ず訪れます。
そこで今回、実施指導の対策のポイントを、過去の指導や研修·経験をもとに、お伝えしたいと思います。
ケアプラン関係
- 胃ろう Pトイレ エアーマット 畳対応等、特別なケアを行う場合は、必ずケアプランに位置付けて、家族に同意を得る。電話で説明した場合も、その記録を残す。
- 短期入所生活介護計画の作成にあたっては、管理者が携わり、管理者が作成者となる。(3泊4日以上のショートスティ利用者が作成対象)
- アセスメントを適切に実施する事で、ケアプランのサービ内容に取り入れる。(アセスメントとサービス内容の適合性)
- 施設入所時の初回プラン(暫定プラン)から見直しまでの期間は、半月から1ヶ月設けて良い。(入所して1週間でモニタリングをする必要はない)
- ケアプランの実施記録を適切に残す。
- モニタリングは、原則3ヶ月に1回行う。
- 利用者が自宅において日常生活を営む事が出来るかどうかについて、定期的に多職種で検討し、それを記録(会議録)に残す。
- 退院等で状態に変化が生じた場合、ケアプランに変更がなくても、担当者会議を開催する。
- ケアプランの内容と実際のケアが合っているかの確認。
事故対策関係
- 事故発生防止のための委員会等において、一定期間経過後に講じた事故防止対策の効果の評価を行う。
- 転倒等で病院受診をした際は、保険者等に速やかに事故報告書を提出しなければならない。
- 利用者の手の届く所や出入りする可能性がある所に、異食の可能性に繋がるものは置かない。(ビニール手袋や洗剤、経鼻·胃ろうチューブ、吸引チューブ等)
- 汚物室やリネン庫には、利用者が勝手に入らないように施錠する。
- ベッド柵にカバーをする際は、ビニール紐等、異食に繋がる危険性のある物は使用しない。
- 事故報告書の流れについての確認。
環境整備
- 寝たきりでナースコールを押せない方でも、必ず設置をして、枕元の近くに置く必要がある。(急変時等に、直ぐにスタッフがナースコールを押して知らせる事が出来るように)
- すべての利用者(寝たきりの方も含め)には、自分で降りることが出来るスペースが必要である。拘束にならないように。
- ベッド上での怪我予防に設置している柵カバーは、利用者の視界を遮らないようにする。(頭部の方には、隙間を作り左右見えるようにする)
身体拘束
- 身体拘束廃止の取り組みについては、内部研修だけでなく、外部研修、シンポジウムに参加して、施設の取り組みを深める。
- 身体拘束の実施がない場合でも、委員会で参考事例の検討や意識啓発を、実施し記録に残す。
- 身体拘束を開始·廃止する場合は、速やかに計画を変更する。また、終了した際には、代替ケアを位置付ける。
- 車椅子に鈴を付ける好意について、身体拘束委員会で検討する。
- センサーマット、ベッドサイドのベッドマット、ベッド柵カバー設置者等の特別な対応をしている利用者については、経緯の確認をされる。
苦情
- 苦情相談を受け付けた案件は、ホームページに提示する。
入所者検討委員会
- 要介護1.2の入所申込み分は、市へ意見照合を行う。
研修
- 新人研修については、入職後速やかに実施する。
- 新人研修においてに身体拘束廃止に関する研修を行った記録を残す。
- 施設内研修を実施した記録について、内容が分かるように記録に残す。
- 研修参加のリスト及び計画表の作成。
食事
- 食事介助は必ず座って行う。
- メニューをきちんと説明出来るか確認される。
- 1対1で介助しているか、声掛けをしっかり行っているか確認される。
清潔不潔
- トイレ·汚物室に、手指消毒液がきちんと設置してあるかどうか。
- 使用済オムツやパットが、居室やトイレに放置されたままなっていないか。
- 排泄介助の手順をきちんと説明出来るかの確認。
内服薬
- 薬の保管場所の管理方法について。
- 薬の服薬方法。
提示物
- 運営規定、緊急連絡網、協力病院、苦情の処理や担当者、利用料の明細等の掲示の有無。
- オンコール体制を取っている場合、看護師の連絡先を提示しているか。
- 居室の利用者と名前が一致しているか。
その他
- ショートスティの送迎の記録。
- 居室変更理由の明確化。
- 冷蔵庫の中に、医療品と食べ物が一緒に保管していないかの確認。
- ナースコールが全てのベッドに設置してあるかどうか。設置していない場合は、その理由。
項目ごとに述べていきました。日頃から、環境整備や書類整頓出来ていれば、そこまで慌てる事も少ないかもしれません。
前回の指摘事項は、必ず確認されますので、改善している事が前提です。また、巡回時では、相当細かい所も見られます。
『こんなところまで指摘する?』
と、正直思う所が多々あります。しかし、分からなくて当たり前と開き直り、教えて下さいというスタンスが、良好な関係を築けます。
あまりにも不備が多かったり、不正が疑われるような事例が発見されたりすると、監査へ切り替わる場合もありますので、注意していきましょう。
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