高齢者施設で相談員をしておりますわすれものです。
2021年度の介護報酬改定で、介護保険施設における事故発生の防止と発生時の適切な対応を推進する観点から、組織的に安全対策を実施する体制が整備されていることを評価する安全対策体制加算が新設されました。
その加算の算定要件の一つに、事故防止対策の担当者の選定・配置があり、それを私が担当する事になり、今回研修を受けた次第です。
講師の一人、烏野猛先生(※びわこ学院大学 教授(学部長)/ 福祉リスクマネジメント研究所 所長/ 一般財団法人烏野財団 代表理事)のリスクマネジメントの内容は、大変分かりやすく、今回の研修だけでなく、もっと話を聞いて勉強したいと思う程でした。
介護施設の平均年齢で一番多いのは90歳以上
烏野講師の研修で、今の介護施設の利用者像を話されていました。今の介護施設の入所者の平均年齢は、90歳以上が最も多くなっています。
90歳以上と言われても、だいぶご高齢としか印象がないかもしれません。
そこで、烏野講師が仰っていたのが、タイトルに示す『火垂るの墓』に出てくる節子のお兄ちゃん(清太)なのです。
『火垂るの墓』は、1945年(昭和20年)の時代設定です。その時のお兄ちゃんは14歳、妹の節子が4歳となっています。今年は2022年ですので、お兄ちゃんが生きていれば、現在91歳になります。
当時の節子達の暮らしを考えてみよう
戦争中の日本の混乱した苦悩が描かれています。食べる事も住む事も勉強する事もままならない、生きる事が精一杯の時代でした。そのような方達が今、介護施設の利用者とし最も多くいらっしゃいます。
『節子の兄ちゃんの世代が、戦争時代を経験し苦労して生き抜いて来られた。その辛かった背景を知っていれば、今問題行動や認知症があっても、私達は共感や思いやりを持って接する事が出来るのではないでしょうか』
烏野講師のその言葉が印象的でした。
2025年問題は高齢者の層が変わります
今後私達が直面する問題として、2025年問題(超高齢化社会)があります。先程もお伝えしましたが、今は90歳以上が最も多い年齢層になります。
しかし、人口推計で見ていきますと、
- 1949年生まれの72歳が最多
- 1948年生まれの73歳がNo.2
- 1947年生まれの74歳がNo.3
と、なっており72〜74歳の3年間で約1000万人以上になります。
烏野講師は、2025年問題は、高齢者の層がガラッと変わることが、何よりもリスクと述べられています。著名人を例(泉谷しげる、ビートたけし、矢沢永吉等)に挙げておられましたが、戦後の混乱から高度経済成長へ勢いを付けた時代、『色々な事が出来る』ようになった年齢層です。
実際に利用される層が、今後大きく変わる事で、利用者のニーズも変化する事になります。
私達は、そのニーズに応える事が出来、しっかりとしたコミュニケーション力で、説明·納得を得られるかが、今後選ばれる施設のポイントだと、烏野講師は述べられています。
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